「莉」の意味を追求した!名前に使う際はポジティブに捉えよう
昔は「り」の読みを持つ名前に使う漢字と言えば「里」「理」「梨」などが一般的でしたが、時代の流れと共にそこに割り入るどころかナンバーワンの風格さえ漂わせている文字が今回テーマとする「莉」です。
例えば「莉子」という組み合わせは、その年の名前ランキングでも毎年トップ10に必ず登場する人気の名前で、近代の名付けにおいては大きく存在感を発揮しています。
人気だからこそと言っても良いかもしれませんが、この漢字にあまり良い印象を持っていない方も散見されます。ただ、私的にはかなりポジティブな漢字であり、名付け側の願いや想いを感じ取りやすい。そんな文字だと思っています。
今回はそうした「莉」という漢字の意味を、由来や成り立ち、名付けの上のポイントという流れで特集していきます。一緒に見ていくとしましょう。
まずは「莉」のポイントから見ていこう
画数 :10画
音訓:リ ライ レイ
名乗り:特に特殊なものは無し
意味
「茉莉」と組み合わせるとモクセイ科ソケイ属の常緑小高木であるアラビアジャスミンを表す。花は香りが良く、お茶に使われる(ジャスミンティー)
ポイント
香りの良い花を咲かせるジャスミンを連想させる言葉。癒しの香りが漂う字として、特に女の子の名付けに人気がある。画数や見た目のバランスから先頭、中間、止め字とどの位置でも使え、組み合わせのバリエーションが非常に多いのが特徴。
「莉里(れいり)」など「れい」の読みを活用した名前もありますが、「り」と読む形が圧倒的に多いです。
名付けにおいては、上のポイントにあるとおり、ジャスミンティーで有名な茉莉の花をイメージして使われるのが特徴ですね。
この写真の様に可憐な花を咲かせます。
植物名を名前に使う時は、花言葉のチェックが欠かせません。もちろん、自分自身のイメージで捉えても良いのですが、花言葉は基本的にその花の特徴から作られるものですので、参考にしやすいですからね。
色別にすると更に多く出てくるのですが、ジャスミン全般の花言葉は以下の3つ。
- 愛想のよい
- 優美
- 愛らしさ
どれも名前にはピッタリなイメージだと思います^^
舞姫などで有名な森鴎外は、娘にドイツ風の「マリー」と名付けようと考え、その際に漢字として「茉莉(まり)」を当てました。見事なまでにジャスミンですね。
ちなみに、彼女も作家として活躍したことで知られています。
ただし、「茉莉」と組み合わせないと意味をなさない言葉の片方を名前に使うのはどうかという意見も存在します。
漢和辞典の「莉」の項に「茉莉(マツリ)とは」に対する解説のみが出てくるのがそうした解釈がされる理由でしょう。ただ、私の観点で言えば意味のない漢字なんて無いと思っています。
その点を少し掘り下げてお伝えしていくとしましょう。
言葉の成り立ちを見ると色々と見えてくる
漢和辞典の「莉」のページには確かに「茉莉」の解説となっていますが、これは「茉」も同じだったりします。
元々は梵語の"malika(ジャスミンの花の意)"の音に当てはめる為に創作された言葉だとされていますので、確かに2つで1組の漢字だとは言えるでしょう。
ただ、漢字の作りそのものは違いますし、やはりそこには意図が存在すると私は考えています。
字源とされているものは以下のとおりです。
末は木の先端に「一」を足した図形とされており、小さくて細い枝(こずえ)を表現することに使われた漢字です。そこから「小さい」「細かい」といった意味へと展開されます。草と合わせると、「小さな植物」がイメージされますね。
莉「草+利」:
利は左半分が穂先が垂れかかる形を、右半分が刀の形を表す象形文字で、最初は刃物がよく切れるさまを表すのに使われました。ここから「スムーズに通る」のコアイメージが作られ、「役立つ」等の意味が誕生します。この漢字を草と組み合わせることで「役立つ植物」等の捉え方が出来ます。
こうした成り立ちを考えると「茉はジャスミンの花そのものや可憐さ(小ささのイメージ)」「莉はジャスミンの香りや効能(両方とも役立つ)」などと役割を分けることが出来ると言えるのではないでしょうか。
先にお伝えした花言葉にしても、香りから来る部分も大きいです。そう考えると「莉」単体でもしっかりとした意味を持つことが出来る。
こうポジティブに捉えるのが大切だというのが私の考えです。名付けの時もそうですが、名前は長く付き合っていくもの。名付けられた側が悪い方に考えてしまうというのは好ましくありません。
悪いと考える点のみを強調する方もいらっしゃいますが、想いや願いは良い面を捉えたもの。そう考えると素敵な名前になりますし、いつだってそれが正解だと思います。
名付けの際の注意点はある?
前述のとおり、ネガティブな捉え方をする人も中にはいる。ここは頭に置いておくことが大切です。名付けられた本人が何かの拍子で自分の名前を悪い方向に考えてしまうことは多々ありますからね。
その上で、名付け側はそこにしっかりとした意図を持ってこの漢字を使うこと。そして、その想いを何度も伝える事。この意識を持っておきましょう。
時に名前を嫌いになっても、愛の詰まった名前であれば次第に好きになれるものです。ここは悪く捉える人も中にはいるという文字を使う時には基本となる考え方だと思ってみてください。
それと、組み合わせる漢字によっては、その音から悪い方向へ連想されてしまうというパターンがあることにも注意が必要だと言えます。
例えば、素敵な漢字の組み合わせから「夢莉(ゆり)」と名付けたとしましょう。確かに素敵な響きのする名前ですが、「むり」の読みを連想する方も必ずいらっしゃいます。
(ちなみに、この組み合わせは中国だといわゆる「ロリータ」を意味する近代語として使われたりもします^^;)
敢えて読みは出しませんが、夏に生まれたから「夏莉」とする。こちらは人によっては性的な単語に捉えてしまうかもしれません…。
この様に、漢字を組み合わせた際の読みについては、色んな可能性に目を向けていくことも非常に大切ですね。
私のリサーチはいつも漢和辞典と名前辞典を開くことから始まります。
その際の印象として、「莉」に全く悪いイメージを持ちませんでしたが、その後に人の意見をチェックして、ネガティブに捉える方が意外と多いことに驚きました。
それ自体も間違いとは言いませんが、一歩掘り下げて考えていくと良い印象が残るもの。今回の調査では、その点を強く感じました。
ジャスミンの香りの持つ優美さ、愛らしさなどを強調した素敵な漢字だと考えて、ポジティブに使ってほしい。そんな想いと共に、今回の記事を締めさせていただきますm(_ _)m
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません