「真」の意味を名前向きに追いかけた!怖い由来もあるけれど…
昔から名前によく見かける漢字はあれこれとありますが、「真」もその1つですよね。
1文字で使われていることもあれば(最近は見かける機会が減った気もしますが)、2文字以上の組み合わせとしてもよく使われます。30代後半の私の友人にもちらほらと見られるくらい代表的な名前用の漢字と言って良いでしょう。
そんな「真」ですが一般的な字ですので意味を把握していないという方はまずいないと思います。ただし完全に知り尽くしているかといえばそうとも言い切れないのではないでしょうか。
漢字はリサーチを深めれば深めるほど解釈の幅が深まるもの。そしてその幅が名付けには結構重要だったりします。
そうした観点から今回は「真」の意味を文字の全体像、由来や成り立ち、注意点という流れで特集していきたいと思いますので、一緒に見ていきましょう。
「真」の意味の全体像
画数 :10画
音訓:シン ま
名乗り:さな さね さだ ただ ただし ちか なお まさ まこと まな み
意味
本物。ただしい。うそや欠け目がない。充実している。実在する。楷書のこと。本当に。実に。
ポイント
嘘偽りないという社会生活において大切なポイントが詰まった漢字。名前向きの良い意味が多く想定されることから、昔も今も男女ともに人気の漢字である。左右対称の字形から、他の漢字との相性も良く、「しん」「まさ」といった昔ながらの読みの他、「ま」の止め字で使うケースが増えている。
読みとしては1文字で使う場合は「まこと」と「しん」のツートップ、2文字以上で組み合わせる場合は「しん」「ま」が特に多いですが、「まさ」「み」「さだ」「さな」「みち」などなど様々な読ませ方をする漢字です。
名前事典の「名乗り」にある読みを全部見かけることってほぼないのですが、この漢字の場合は見事に全部使われているという印象でした。
意味としてはやはり一般的にイメージされる「本物」とか「ただしい」などが中心と考えて良いかと思います。
1文字だけで想定される名付けの解釈としては…
- 優れた本物の人になってほしい
- 嘘をつかない人になってほしい
- 正しい行いのできる人になってほしい
- 充実した人生を過ごしてほしい
こうしたところが考えやすいですね。
真面目そうな雰囲気が代表的なところかと思いますが、決してそれだけでなく人生の充実や人としての優秀さなど、色んな方向に解釈して問題ないでしょう。
なお、2文字以上で使う場合、他の字の解釈を「本当に~」「実に~」と強調するという使い方が出来るのもこの漢字の面白いところだったりもします。
漢字の由来や成り立ちは?
「真」の旧字は「眞」でして、成り立ちとしてはこちらの旧字をベースにお伝えすることになります。
諸説あるのですが、漢和辞典にも載っている成り立ちとしては「眞」は「匕+鼎(かなえ)」の組み合わせで作られている漢字とされています。
匕は匙(さじ)に含まれるものでスプーンを指し、鼎は古代中国で使われた金属製で三本足の器。
眞はスプーンで鼎に素材を入れる情景を想定した図形とされ、「中に詰め込む」「中身が詰まる」というイメージを表すのに利用されました。
そこから「中身がいっぱい詰まる」というコアイメージができ、中身の詰まったものはごまかしがない(偽物でない)ということから、『ある物事に関して嘘やいつわりがないこと』を指すようになったのです。
こうした由来を追いかけてみて、私としては隠しようのない存在感のようなものが頭に浮かんできました。元々のイメージを組み合わせたような形だとも言えますが『嘘のつきようもないくらい本物の』みたいに、どこか詩的でどこか野暮ったい。そんな魅力に心を掴まれてしまったのです。
怖い由来もあったりする
「匕」は同じですが、眞のもう1つの要素を「鼎」ではなく「県」とする説もあります。
県は首の逆さ文字(指示文字)であり、首を切って見せしめのために高いところからぶら下げることを示すという字源を持っています。
※漢和辞典にも「さかづりする。さかづり。首を切ってその首をさかさにぶらさげる」という何とも恐ろしい意味が掲載されていたりします
また「匕」の解釈も少々違い、「人」が逆さになった字として死者を表しているとされ、この2つの形が組み合わさることで行き倒れたり首をさらされるなど、様々な観点での死を表すのだそうです。
そして、死というのはそれ以上何にも変わらない状態であることから、それが「まこと」という解釈に繋がっていく。これが真の成り立ちのもう1つの説です。
どちらかと言えば最近聞かれるようになった説です。私は基本的に良い由来に目をやる派で、かつ多くの漢字には悪い解釈はあると考えるタイプなのでさして気にならなかったりします。
名前に使う際の注意点はある?
由来を追いかけると少々怖い解釈にも出会いますが、一般に通った意味には悪いところが無いと言えますし、意味的にはそう注意をする必要はないでしょう。
強いて言うとすればですが、知識をひけらかす意味で「死」の方の由来を口にする人もいるかもしれません。そうした由来も目にしつつ気にせずに使うことに決めたと、もう1つの由来を伝えるくらいの心の準備があると気楽ではありますね。
ただし、他の字を組み合わせて使う場合には熟語に注意が必要です。既に熟語が存在していれば、自分の想いとは全く別の捉え方をされてしまうかもしれません。名前にありそうなところだと…
- 真吾:本当の自分の姿。飾らないありのままの自分。
- 真人:道家で精気の充実した人。心理を悟った人。
- 真名:仮名に対して漢字のこと。
こうした熟語が一例として挙げられます。
それぞれ悪い意味はないので問題はないと言えますが、やはり知っていると知らないとでは深みが変わってきます。
組み合わせの候補が出てきたら、それぞれ辞書で引いてみる。こうしたリサーチはぜひしてみてくださいね。
辞書メインでリサーチをする私ですが、ネットで情報を見ているとかなり「死」という由来をピックアップしている記事が多くて驚きました。
悪く捉えているのではなく、当たり前に使っている漢字にも知らない由来があるのを面白いことと強く感じています。
私自身、10月に生まれてくる我が子の名前をあれこれと考えている立場ですが、悪い意味を完全にスルーすると言うより、悪い意味も良い意味もひっくるめて、本質を考えながら名前を導き出していきたいと思います^^
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