「朝」の意味を具体的に追いかけた!名前に使うと意外な印象が残るかも
「朝」はあまりに日常的すぎて、名付けに利用することを検討していても意味に目が向きづらい漢字だと言えます。
私もそうですが誰もがモーニングの朝を想像するでしょうからね。
そうした漢字も他の意味だったり成り立ちを追いかけてみると思わぬ発見があるものです。そうして解釈を追求していくと名前に奥深さが出るもの。これが名前の漢字を研究する最大の面白さだと思っていたりします。
そんなことを考えつつ、今回は「朝」の意味を漢字の全体像、由来や成り立ち、名付けの際の注意点といういつもの流れで特集していきたいと思います。1つ1つチェックしてみてくださいね~。
「朝」の意味の全体像
画数 :12画
音訓:チョウ あさ
名乗り:あした さ とき とも はじめ
意味
あさ。夜明け。宮中に参内して天子や身分の高い人にお目にかかる。顔を向けてそちらにむかう。天子が政治を行うところ。
ポイント
夜明けの明るさやこれから太陽が昇る希望などの明るいイメージがある漢字。昔の中国では朝早くから政治が行われていた為、朝廷や王朝の様に使われたりもする。名乗りの「とも」は武将の名前に使われることもあり(源頼朝など)和風のイメージを持たせるのに向いているとされる。
読みとしては「あさ」が圧倒的に多いですね。その次に「とも」が多いといったところです。
また、1文字で名前にする場合は「はじめ」が使われたりしますが、こちらも素敵な響きですね。
やはりモーニングの朝が基本的な意味だと言えますね。
ただ、政治に関する言葉でもあります。確かに朝廷、王朝なんかは何度も見かけてきましたが、あまり朝の字に注目していなかったので、リサーチをするまでは政治のイメージを自分は持っていませんでした。
私は和風な名前に興味が強いタイプなので、歴史を感じさせるという観点から俄然「朝」に興味を持つようになりました。
名前にもたらされるであろう意味は…
- 大きな希望のある人生を歩んでいってほしい
- 光に照らされた良い人生を歩んでいってほしい
- 朝の空気の様に爽やかさを持った人になってほしい
- 人を導いていける人物になってほしい
色々とあると思いますが、このあたりはイメージしやすいと言えそうです。
由来や成り立ちはどうなっている?
朝の字体は時代によって変わります。甲骨文字(殷時代)、金文(殷周時代より秦漢時代頃まで)、篆文(始皇帝の時代)、隷書(漢時代)と時代順に並べますと、「龺+月」「龺+巛」「倝+舟」「龺+舟または月」の組み合わせて表現されてきました。
ほとんどに共通する「龺」は草の間から日が出る情景を表しています。
これだけだとちょっと分かりづらいと思いますので、それぞれ詳しく字源をお伝えしていきますね。
日が出ようとする頃にまだ月がかかっている情景
「龺+巛」(金文)
日の出の頃に海の潮が満ちてくる情景
※巛は「水の流れ」を示す
「倝+舟」(篆文)
太陽が中点に向かって進んでいく情景
※倝は「日が上がる」ことを示し、舟は「進むもの」の象徴である
「龺+舟または月」(隷書)
意味は同上。時代の流れで舟の表記が月へと変わっていった
時代は変われど朝という時間の解釈に違いはありません。しかしながらそこを表現する方法が変わってくるというのが面白いですね。また原点回帰する(月へと戻る)漢字というのも中々珍しいと思います。
こうした成り立ちから由来を見ていくと、意味の全体像として出会った「政治」という解釈が最初からあった訳ではなく、あくまでも朝という時間を表すために漢字が作られたことがよく分かります。
となると、解釈として強調されやすいのはモーニングの朝だと言えそうです。政治については意外性のある隠れた解釈である。こんな捉え方をしてみると名づけ側としては楽しそうですね。
名付けの際に注意点はある?
雑誌やネットなんかで「名付けに使ってはいけない漢字特集」を見かけることがありますよね。
大体どんな漢字でも悪いところを探しては登場させられることが多いのですが(私自身は使ってはいけない漢字はないと考えています)、「朝」については図書館で探してもあれこれ検索しても出てきませんでした。
政治方面の言葉という視点が引っかかると思っていたのですが、意外や意外でした。となると、特に安心して名前に使える漢字である。そう考えても良いのかなと思ったりします。
したがって注意点らしい注意点はない漢字だと言って良いでしょう。
強いて挙げるとすれば読み方ですね。サムライ風と最近人気のある「とも」の読みは分からない方も中にはいたりしますので、状況によってはあらかじめこちらから読み方を伝えるなどしておいた方が安心でしょう。
「政治」という解釈は完全に無視しても良いと思いますし、どこかに含ませてみるのも面白いと思います。
爽やかさ、明るさが中心となるのが「朝」ではありますが、こうして漢字の意味を追いかけてみると意外な解釈が出てくるものですよね。これが日々漢字の意味を名前向きに調べる興味深さだと言えます。
名前に使う漢字はぜひとも印象だけで決めるのではなく、漢和辞典を開いて詳しく意味をチェックしてみてください。思ってもみなかった発見が名前をどんどん深みのあるものにしてくれますよ~。
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