「之」の意味を特集するよ!名前にすると凄く味わい深いかも
名前でしかほとんど見かけない漢字は多いですよね。今回の「之」もその代表格だと思います。
もちろん、調べると之字路とか之子などといった熟語は出てきますし、高校時代の漢文の授業では出会ったような記憶が無くもありません。ただ、日常生活で使うかと聞かれると、私はNOと答えそうです。
そして、このサイトでの経験上、そうした文字ほど掘り下げて調べていくと面白いもの。
過去に「裕之」とか、「龍之介」といった名前を扱う際に軽く触れはしていますが、今回は「之」単体に絞って、漢字の意味や由来・成り立ち、名付けにおけるポイントなど、色んな視点から詳しく特集していきたいと思います!
最初は「之」の大まかなポイントからチェックしよう
画数 :3画
音訓:シ の これ ゆ(く)
名乗り:いたる ゆき
意味
行く。おもむく。至る。これ。〇〇の。
ポイント
「ゆき」と読む止め字として多く使われる。また、新之助の様に「の」を活かした和風名に使われることもある。名前の響きを作るだけでなく、「夢のゴールに至る様に」や、「目的地にたどり着く粘り強さを持てる様に」などの意味付けも可。男性のイメージが強い文字なので、女性名に使う時は性別がまぎらわしくならない様に要注意。
1文字で使えないことはなさそうです。ただ、ほとんど見られません。個人的には「之(いたる)」なんてカッコいいと思ったりはしますね~。
他の文字と組み合わせた時の読みは色々と想像は出来ますが「の」と「ゆき」の二枚看板でしょう。
ポイントにあるとおり、ほとんどの場合男の子に使われる漢字です。意味合い的には女の子に使えないことはないのですが、どう組み合わせても男の子と間違えられづらい漢字だとも言えます。
意味としては、私が元々持っていた感覚では、英語で言うところの"of"、つまり「〇〇の」という意味を持つものだったのですが、もう1つの代表的な読みのまま「行く」や、それに近い「おもむく」「至る」といった意味も持っているというのが面白い点ですね。
- 夢へ向かって進む
- 目標に至れる様に
などと捉えられそうですが、どちらの解釈も名前としては非常にポジティブで使いやすいです。
夢や目的に向かってというイメージは名付けにおいては人気が高いです。同じ願いを含ませられる「行」とか「進」などといった字に比べて、意外性もありますね。
「之」の由来と成り立ちを掘り下げる
現在の文字だと少々分かりづらいかもしれませんが、この字の語源は「止+一」というのが定説です。
「止」は元々は象形文字で、足の形を描いたものだとされています。足の役割は進むことと止まることですよね。これが真っすぐな線である「一」と組み合わさることで、立ち止まるのではなく、目標を目指して真っすぐ進む情景を表す様になりました。
語源としてのルーツが同じ漢字に「志」がありますが、意味として非常に近い存在だと言えそうです。
ただ進むのではなく、真っすぐに進む。これが先に出た「行」や「進」との大きな違いで、より『突き進む』力強さを感じさせられますね。
また、「止+一」の組み合わせには、近いものを真っすぐ指し示すという解釈もでき、「これ」「この」という指示詞に使われる様になりました。「〇〇の」という助詞としての使い方は、更にそこが発展したものと考えられています。
初義は「真っすぐに進む」ですが、どの使い方も古くから存在するものであり、歴史を感じさせる趣もどことなくですが付加させられる。そんなイメージの字と考えるも面白いかもしれません。
名前を考える時のポイントは?
前述のとおり、夢を追いかける、目標へと突き進むという極めてポジティブなパワーを印象付けるのが代表的な使い方だと言えます。
ただ、3文字の名前の場合、文字と文字の間に「之」を使うことで、1文字目、3文字目の字を強調するのにも役立ちます。例えば、「幸之助」だと「幸せの手助け」なんて繋げ方も出来るということです(「の」の読みを使っても、進むという意味を持たせても問題ないですが)。
そうした広がりを持たせられるのが面白い漢字ですね。なお、3字の名前の間に入る字としては代表格といって良いでしょう。
最も大きな注意点は、女の子の名前には非常に使いにくいということですね。
「綾之(あやの)」とか「雪之(ゆきの)」みたいな形にもできなくは無いのですが(意味的には女性でも問題はないですし)、女性の「の」読みだと「綾乃」「雪乃」が多く、特に赤ちゃんの内は男の子と間違えられかねません。
また、3画(4画という説もあり)と画数の少ない字形ですので、画数の多い漢字と組み合わせる頭字とするとバランスが悪くなりやすいです。
頭文字として使う場合は、「之斗(ゆきと)」とか、「之仁(ゆきひと)」の様に、止め字もシンプルなものを選ぶのがコツだと考えるのがお勧めですね。
何気なく使われている様に見える漢字にも、名付け側は強い想いと共にその漢字を選択したかもしれない。これがどんな名前にも言える興味深い点で、「之」というのはよりそうしたポイントが印象深く見える漢字です。
単なる当て字ではなく、そこに深い意味がある。そう考えると名前がどんどん素敵なものに思えてくるものですよ。
なお、名追美ちゃん(当サイトのキャラクター)が最初に持っていた疑問ですが、「之」はどんな漢字として説明するのが一番良いでしょうか。
かなり悩ましいところなのですがリサーチした中では『「え」に近い形・有名人の名前』を組み合わせるのがベストだと感じています。
名前としては一般的な字ですし、読みもよく知られているというのがその理由ですね。例えば『「え」に近い形の字で、佐々木蔵之介さんの「の」の字です』とか、こんな説明であれば、自分はすぐに分かってありがたいですね。
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